1.研究林分の新設 山形県東田川の郡朝日村田麦俣所在の国有林66林班い小班とわ小班の境界地に1988年設置(田麦俣国有林プロット)。い小班は1968年に天然林の皆伐が行われた場所で、わ小班は皆伐の際保残された場所である。調査プロットには現在幼齢木が密生している。 2.研究林分の測定 調査地に20個のプロットを設け、それら全プロット内の樹林418のうち樹高51cm以上に達している246本を樹幹解析した。他の樹木については地際の年輪を数えた。本調査地の樹種構成はブナノキとリヨウブがそれぞれ4分の1近くを占めている。 3.収量-密度曲線の検討 これまで設定した研究材分に、森林総合研究所東北支所保管のブナノキニ次林の資料を併せ、収量-密度曲線を作図した。次にこれらの曲線に逆数式をあてはめ、その適合性を検討した。林分の保育、特に間伐の指針を得るための基礎をなすものである。 4.得られた知見 (1)田麦俣プロットの幼齢ブナノキは第IV齢級に集中している。これに対しリョウブの齢級間の本数の差は少ない。ブナノキの発生が皆伐の翌年に集中しているのに対し、リョウブの発生がその後も継続し、林分はこれらの複合したものであることが明らかとなった。 (2)ブナノキ二次林の収量-密度図作成にあたっては、材積の代りに胸高断面積を用いれば充分である。収量-密度図は胸高直径の大きな立木から胸高断面積を積算していくことによって得られる。この収量-密度曲線に対しては、材分が極端に人工ー斉林に近くないかぎり逆数式が適合する。したがって保育に際して密度管理の方法を適用できる。
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