研究概要 |
立地環境と深い関係にあると考えられる漏脂病の多発地帯で,前年に引き続き実態調査を行った. 漏脂症を示す被害部位は,前年までに明らかにされた. 1)雪起こしによるもの,2)雪の圃行圧などの雪圧によるもの,3)凍害によるもの,4)ナラタケ病によるものが殆どで, 平均患部数は南側に多く,統計上有意であった. また,樹幹の高さ別に区切った場合,患部は一般に低い位置ほど多いが,樹高10m以上の部位にも多数認められた. 樹幹部の病害による変形の長さは,一般に50〜100cmであったが,2mに達するものも認められた. 罹病木の水分生理状態を調べるために,日中の水ポテンシャルを測定した. また,PーV曲線法によって罹病木の水分特性についても検討を加えた. その結果,供試個体間にバラツキが大きく,一定の傾向を見い出すことは出来なかった. このことから,本病によって樹体の水分生理状態には著しい影響があらわれる可能性は小さいものと考えられるが,今後,更に検討が必要であろう.
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