研究課題/領域番号 |
61480061
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 和夫 東京大学, 農学部, 助教授 (80162931)
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研究分担者 |
紙谷 智彦 新潟大学, 農学部, 助手 (40152855)
福田 健二 東京大学, 農学部, 助手 (30208954)
梶 幹男 東京大学, 農学部附属演習林, 助教授 (00152645)
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キーワード | ヒノキ漏脂病 / 発生環境解折 / 環境ストレス / アイソザイム分析 / 漏脂病発生機作 |
研究概要 |
1.ヒノキの環境ストレス、特に積雪と温度との関係を明らかにするために、金沢市湯涌のヒノキ林において、樹幹付近の温度を地上高別に、融雪時期を中心として自動温度測定装置によって記録した。その結果、地上10cmの樹幹部付近の温度は、積雪下にあった期間中は温度較差が少なく、顕著な日変化を示す地上150cmおよび300cmの位置の樹幹部付近における温度変化とは異なった変化を示した。 2.漏脂病感受性に対するヒノキの遺伝的変異について明らかにするため、金沢市湯涌および鳳至郡甲のヒノキ林分より試料を採取し、18の研体についてアイソザイム分析を行った。Acp、ADH、GDH、GK、GOT、Lap、MDH、6PG、PODの9酵素について分析を行った結果、リンゴ酸脱水素酵素(MDH)、6-ホスホグルコン酸脱水素酵素(6PG)、およびパーオキシダーゼ(POD)について、供試固体間、および健全木と罹病木間に興味ある結果が得られた。 3.ヒノキの漏脂性病害に関与する病原菌について検討を加え、漏脂病の発生機序についてでとりまとめた。その結果、漏脂病は、雪や寒さといった気象的因子を誘因として内樹皮内に傷害樹脂道を形成させ、樹脂流出型の漏脂病の初期病徴が形成されるものと考えられた。このような、環境ストレスを引続き被るか、あるいは初期病徴が癒合・拡大すると漏脂型病徴へと進展する。このようにして、漏脂病の病徴の推移に伴って、漏脂病の典型的病徴は、樹脂流出型・漏脂型・溝腐型の3つに類型化されることが明らかにされた。
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