研究概要 |
長野県王滝村の御岳山の地すべりとその9km以上にわたる流動現象についての現地調査を行ない、御岳の地すべりが流動した伝上川の堆積物を約5m掘削し、サンプルの採取を行なった。サンプルの採取点は掘削面の観察より、地山より上で渓床表面より3m下の地下水の水面近辺(すべり面となったと思われる場所)である。そして、このサンプルを用いて、高速リングせん断試験,三軸圧縮試験,定体積一面せん断試験(本研究費で購入した現場一面せん断試験機により行たった)を行ない、この土砂の運動時のマサツ角と間ゲキ水圧係数の測定を行なった。この測定値を佐々の立てた理論式へ代入することにより、運動時のマサツ係数を算定し、土塊の運動距離と運動速度の予測を行なった。その結果、御岳山の地すべりの流動現象を十分な精度で予測(現象が生じたあとなので、逆算的な側面もあるが)することが可能であることが分かった。また、実験の結果、堆積物の飽和度が間ゲキ水圧の発生量に大きく影響することが分かり、渓床勾配の大きな上流部では、水が脈状に流れ飽和度が低く、水が常に渓床表面まであり、かつ、ほぼ湛水状態にある下流部では飽和度が高いことを考慮する必要があることが見出された。 昭和60年に長野市地附山で発生した地すべりの運動を調べるために、現地調査を行ない、地下6mの所より、すべり面となったと思われるサンプルを採取し、現在、種々の土質試験を開始している。
|