研究概要 |
この研究は、木造プレカット仕口の最適寸法を実験的および構造解析的に究明することを目的としているが、初年度の昭和61年度においては、(1)仕口接合部の静的加力試験と、(2)仕口接合部の動的加力試験に対する予備的検討、の二つを行うことにした。研究結果の概要を述べると、次のとおりである。 1.仕口接合部の静的加力試験 柱と土台の接合に多用されるT形仕口(ほぞ差し)について、ほぞの断面寸法を13レベル、ほぞ長さを3レベルに変化させ、それらの寸法変化が仕口の接合強度におよぼす影響を実験的に調べた。試験体材料は、10.5cm角のベイツが(柱),ベイヒバ(土台)の人工乾燥材とし、試験体外形寸法は圧縮用30cm×80cm,引張用55cm×50cm,水平加力用85cm×60cmとした。また、込み栓は1.5cm角のミズナラ材とした。負荷は材料試験機または壁体用水平加力試験機で加え、荷重一変位曲線,破壊状況などを測定・観察した。その結果、仕口接合部の最大引張荷重はほぞ断面積の大小にかかわらず大略一定の傾向を示し、また水平および圧縮加力の比例限度荷重はほぞ断面の増大にともない、それぞれ放物線的に増大および低いピークをもつ山形の変化を示すことが明らかにされた。さらに、これらのことから、ほぞ断面の最適寸法は慣用寸法より幾分大きい51mm×51mm,51mm×72mm付近にあることが結論された。2.仕口接合部の動的加力試験に対する予備的検討 上記の静的加力試験は負荷方向が1方向で行いやすいが、動的加力試験は負荷方向が正逆2方向で、試験体の試験機への取り付け方法が重要な問題となる。これに対処するため、アクチュエータ側の試験体つかみ具と試験機テーブル側の試験体固定台を種々検討・試作し、仕口接合部の動的加力試験が精度よく行える方法を確立した。
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