研究概要 |
マレック病ウイルス並びに可移植性腫瘍細胞に対する抵抗性を種々の免疫学的特性をもつ系統を用いて分析した. 主要な結果は次の通りである. 1.正常時IgG量,家免血清アルブミン(RSA)に対する免疫応答能,並びに牛血清アルブミン(BSA)に対するアナフィラキンーショックに対してそれぞれ高低2方向に選抜された系統について,マレック病ウイルスの強毒株であるJM株を用いて,接種試験を行った. マレック病に対する抵抗性はIgG及びRSA選抜系では高系く低系であった. 一方,BSAに対するアナフイラキンーについて選抜された系統では,高,低両系統間に差は見られなかった. 2.可移植性マレック病腫瘍細胞(41C株)に対する抵抗性では,何れも高系〉低系となり,マレック病に対する抵抗性とは異なっていた. 何れの系統においても高系が低系よりマレック病抵抗性を示したということは,腫瘍細胞に対する抵抗性に液性免疫がかなり関与していることを示唆している. 3.マレック病抵抗性に対する主要組織適合遺伝子(B遺伝子)の関与の程度について詳しく分析する為に,B遺伝子の異なるcongenicな系統の作出を試み,現在近交系の交難種を用いて戻し交雑を実施中である. 4.移植片対宿主反応能について高,低2方向に選抜した系統から得られた初生雛について胸線摘除(Tx)を行い,それに無処理の雛の脾細胞を移入し,7日齢時に41C株を胸筋内に移植した. その結果,高Tx+低脾細胞の組合せでは腫瘍増殖が,低Tx+高脾細胞では腫瘍増殖促進が現われた. このように,腫瘍増殖に及ぼすリンパ球の能力に系統差が観察された. 5.41C株移植雛の血清中に観出された腫瘍増殖因子105Kgpについて,その定量法を検討し,ELISA法が有用であることが確認された.
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