流行型ウシ白血病(EBL)はウシ白血病ウイルス(BLV)に起因するBリンパ腫である。我々はEBL細胞の腫瘍抗原(TAA)に対するモノクローナル抗体を作出した。この抗体を用いTAAの生化学的および生物学的性状について検討した。 その結果以下の成績が得られた。 1.TAAは糖タンパク質であり数種の抗原領域が存在する。 2.TAAはEBL腫瘍細胞のみならずウシ胸腺細胞およびBLV非感染牛末梢血リンパ球(PBL)をマイトージェン添加で培養した場合にも検出された。すなわち、胸腺では主に髄質に陽性細胞を認めた。BLV非感染牛PBLでは培養前はTAAの発現を認めなかったが培養後、数パーセントの細胞がTAAを発現していた。 3.TAAに対するモノクローナル抗体c143はEBL細胞のみならず散発型腫瘍細胞とも反応した。 4.c143はウエスタン・ブロット法で可溶化したEBL細胞、ヒフ型腫瘍細胞および仔牛型腫瘍細胞とそれぞれ74k、42k、および37kにバンドを認めた。
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