1.細菌抗原に対するニジマスの細胞性免疫 リンパ球とならび細胞性の感染防御機構として重要なマクロファージの活性化機構を化学発光(chemiluminescens;CL)を利用して調べた。Vibrioanguillarum生菌はニジマス腹腔マクロファージに強いCL反応を起こさせるのに対し、死菌のそれは弱かった。V.anguillarum死菌で免疫したニジマスのマクロファージは免疫後7日からCL反応の上昇を示し、この時点でニジマス生菌攻撃するとそのほとんどが耐過した。これらの結果からマクロファージが細菌感染早期における防御に関与することが示唆された。 2.ニジマスの体液性免疫予防効果評価 魚における炎症反応の状態を知るための指標として、C反応性蛋白(C-reactive protein;CRP)の検出法を検討した。まずニジマス血清よりCRPを精製することに成功し、その理化学的性状を明らかにした。次にV.anguillarum感染ニジマスにおけるCRP量を測定したところ、感染にともない血中濃度は顕著に上昇した。これによりCRPの測定を免疫予防効果評価に利用しうる可能性が示唆された。 さらに、合成基質を使用したエンドトキシン微量定量法を確立した。正常ニジマスにおいては血清中に哺乳動物と比較して高い濃度のエンドトキシンが検出された。エンドトキシン濃度はV.anguillarum生菌あるいは精製工ンドトキシン接種により顕著に上昇した。大量のエンドトキシンを接種しても魚は死亡しないことより、ニジマスのエンドトキシンに対する感受性は低いものと推測された。
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