研究概要 |
本研究申請書に記した内容に従って研究を進めており、これまでに大巾な変更はない。 胃酸分泌細胞の漿膜側細胞膜中に存在するイオンチャンネルを、パッチクランプ法で研究し、これまでに、内向き及び外向きに整流特性を有する2種類の【K^+】チャンネルを捕えた。ウサギ胃腺の酸分泌細胞には、このようなイオンチャンネルが細胞1個あたり約10個という極めて少ない数で存在した。 異酸分泌細胞の分泌側細胞膜にパッチ電極をあてることは形態学的に不可能である。従って本研究では、細胞膜をホモジナイズし、細胞膜断片をベシクル化し、次いで巨大ベシクルを作って、パッチ電極を巨大ベシクルにあてる方法を模索してきたが、目下ほぼ技術的な問題を解決しつつある。分泌側細胞膜中には。【H^+】,【K^+】-ATPaseが存在するので、これを分泌側細胞膜のメルクマールとしている。 他方、【H^+】,【K^+】-ATPaseを含む細胞膜を抗原として、モノクローナル抗体調整を試みている。これまでのところ、【H^+】,【K^+】-ATPaseの酵素活性を阻害する抗体、【Cl^-】チャンネルを阻害する抗体を調整することができた。今後、これらの抗体と電気生理学的手法を結合させる。 本年度の設備備品は申請したものを、すべて購入し、実験に使っている。
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