研究概要 |
骨格筋および心筋細胞内Ca濃度変化を経時的に定量し、収縮との関係を明らかにするとともに、細胞内Ca濃度変化の画像化を試みた。骨格筋の単一筋線維内に、Ca感受性発光タンパク(エクオリン)を微小電極により圧注入し、光電子増倍管によりアナログ信号を検出すると同時に、倒立顕微鏡、画像増強装置(VIM)高感度テレビカメラおよび画像処理装置を用いて、エクオリンの発光を画像化した。エクオリンの発光は微弱なので、倒立顕微鏡内のプリズム改善を行ない、光量獲得の効率をあげた。蛙前脛骨筋の単一筋線維の腱に近い部分にエクオリンを圧注入した。筋節長をレーザーを用いて2.4μmに調節したのちに、エクオリン注入部位に顕微鏡の焦点をあわせた。低照度の照明により筋線維の輪郭を確認し、ビデオモニター上に映し出し記録した。単収縮および強縮(40〜50Hz,18℃)をおこさせて筋収縮による筋線維の動きを記録した。照明を切り光電子増倍管のライトガイドを標本の直上に移動させ光信号記録の準備をした。VIM装置を作動させて感度を上げ画像を記録した。刺激とイメージプロセッサーは同期させることができるので、筋を刺激し前後の画像と経時的に記録した。イメージプロセッサーより画像を加算できるので、単収縮、強縮発生時の画像を指定回数だけ加算した。単収縮発生時には刺激33msec後の画像には輝点が少ししかみられない。次の画面では輝点数が増しより密になった。その後数画面は次第に輝点数が減少した。同様なことをくり返すと細胞内の異った部位に輝点が現われることがわかった。強縮発生時には輝点数はより増し輝度も増した。強縮発生中にも輝点は空間的にランダムに見られ、かつ画像ごとに輝点のみられる場所も異った。以上の結果は筋収縮時細胞内Caは必ずしも空間的に均一濃度を保っていないことを意味する。
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