研究課題/領域番号 |
61480109
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
赤池 紀生 九大, 医学部, 助教授 (30040182)
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研究分担者 |
片渕 俊彦 九州大学, 医学部, 助手 (80177401)
津田 泰夫 九州大学, 医学部, 助手 (20036495)
大村 裕 九州大学, 医学部, 教授 (30019517)
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キーワード | 中枢神経 / 単離ニューロン / 興奮性アミノ酸 / 抑制性アミノ酸 / 外液瞬間交換法 / 受容器電位 / イオン機序 |
研究概要 |
発達した神径回路網に組込まれている哺乳動物中枢神経系のニューロンには隣接する細胞群から神経回路を経由しての干渉や電気的結合等の影響があり、また周囲のニューロンやグリア細胞による伝達物質の取込みもあり、目的の単一ニューロンそのものの活動に関する信頼しえるデータを得ることは困難であった。今回、我々はラットの中枢神経各部(大脳皮質、海馬、視床下部、小脳、延髄、背髄など)を良好な生理的膜特性をもったままの状態で単離し、「外液瞬間交換法」にて電気生理学的実験に成功した。単離ニューロンに対して興奮性アミノ酸のL-グルタミン酸(L-Glu)、キスカリン酸(QA)およびカイニン酸(KA)は主にNaイオンで運ばれる内向きイオン電流を発生した。L-GIuとQAによって惹起されたイオン電流はほとんど同じ時間経過で脱感作(不活性化)されたが、KAによるそれは脱感作されなかった。用量反応曲線におけるKcl値の大きさはQA<KA<L-Gluの順であり、3物質間には著名な交又脱感作がみられた。また、これらの興奮性アミノ酸で発生するイオン電流は標本をあらかじめ無機や有機の水銀化合物で処置することにより抑制され、その抑制からの回復はシスティン処理によってのみみられた。以上の結果から、これらアミノ酸は同じ受容器か又は受容器のアロステリィクなサイトで干渉しており、受容器蛋白との結合において膜の-SH基が大きな働らきをもっていることが明らかとなった。今後は他の中枢部位の化学感受性ニューロンの特性についても検討したい。また、本実験遂行中に抑制性アミノ酸の一つ、GABAで惹起されるClイオン電流をニューロン内の遊離Caイオンが抑制する脱抑制機構を発見した。
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