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1986 年度 実績報告書

神経伝達物質放出のアドレナリンによる長期制御機構

研究課題

研究課題/領域番号 61480110
研究機関佐賀医科大学

研究代表者

久場 健司  佐賀医大, 医学部, 教授 (60080561)

研究分担者 熊本 栄一  佐賀医科大学, 医学部, 助手 (60136603)
キーワードシナプスの可塑性 / ウシガエル交感神経節 / ACh放出促進 / アドレナリン / 長期増強
研究概要

本年度は、ウシガエル交感神経節でのシナプス前線維末端からの伝達物質(アセチルコリン:ACh)の放出が、アドレナリンにより長時間促進される一連の過程(Adr.-LTP)に於いて、そのACh放出促進に直接関与する機序は何であるかを、細胞内微小電極法により低【Ca^(2+)】高【Mg^(2+)】液中で記録したEPSPの量子数をACh放出の指標として、分析するのが目的であった。
1.二つの連続刺激(50ms間隔)によるEPSPの短期促進現象が、アドレナリン(10μM)によるEPSPの長期増強中に減少した。
2.K-チャネル阻害剤(TEA,4-アミノピリジン,【Cs^+】は顕著なEPSPの量子数の増大を起したが、この存在下でアドレナリンを投与すると、非存在下と同様にEPSPの量子数の長期増強が見られた。
3.灌流液中の【Ca^(2+)】と【Mg^(2+)】の比をある程度のところまで増加(0.083(【Ca^(2+)】;0.6μM,【Mg^(2+)】;7.2mM)→0.124)しても、Adr-LTPの大きさは変らないが、それ以上になると、Adr-LTPの大きさは減少した。
4.細胞内電極によりEPSPと同時に記録されたシナプス前末端の活動電位からEPSPの起始部までのシナプス遅延は、K-チャネル阻害剤の作用により顕著に延長したが、Adr-LTP中には不変であった。以上の結果は、Adr-LTP中にK-チャネルのブロックは起らず、ヌインパルス発生中の【Ca^(2+)】流入は増加しないことが推察され、Adr-LTPはシナプス前線維末端内の静止時の【Ca^(2+)】濃度の上昇により起ることを示唆し、このことはAdr-LTP中にminiature EPSPの出現頻度が増加することや、理論的なシナプス前線維末端内の【Ca^(2+)】濃度の動態の解析からも支持された。
来年度以降は、Adr-LTPの機序を制御するcyclic GMPが関与した系の機序や、生理的条件下でのアドレナリンの起源について実験を展開したい。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 久場健司: J.Physiol.374. 515-530 (1986)

  • [文献書誌] 熊本栄一: J.Gen.Physiol.87. 775-793 (1986)

  • [文献書誌] 久場健司: "Presynaptic modulation:The mechanism and regulation of transmitter liberation in sympathetic ganglia.chapter 10.In Autonomic and Enteric Ganglia.eds.Karczmar,Koketsu & Nishi." Plenum press.New York., 551 (1986)

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公開日: 1988-11-09   更新日: 2016-04-21  

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