研究課題/領域番号 |
61480113
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
間野 忠明 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (30023659)
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研究分担者 |
岩瀬 敏 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (90184879)
古賀 一男 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (30089099)
田村 好弘 名古屋大学, 医療技術短期大学部, 教授 (10023649)
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キーワード | 水浸 / 低重量 / 交感神経活動 / ニューログラム / 体液移動 / 内分泌動態 / 加齢 |
研究概要 |
〔目的〕無重量下における体液移動の制御に交感神経性と内分泌性の調節機構がどのように関与するのかを明らかにするために、水浸時の実験的な低重量下においてヒトの交感神経活動をニューログラム法により記録し、体液移動および、内分泌動態の変化と対比して解析した。一方、この機構は加齢による影響を受けることも考えられるため、本研究では加齢が実験的低重量下におけるヒトの交感神経性活動に及ぼす影響についても検索した。〔方法〕18歳から62歳までの健康な被験者を水浸タンク内に起立させ、膝窩部で脛骨神経から筋交感神経活動をタングステン微小電極により導出、同定した後、頸の高さ迄の段階的な水浸時(水温約34℃)におけるその活動性の変化を観察した。同時に体液移動の指標としての下腿と大腿の容積変化と、血漿ホルモン値を経時的に測定した。〔結果)立位での頸の高さ迄の段階的な水浸により、水位の上昇と共に全ての被験者で脛骨神経から記録した筋交感神経活動が顕著に抑制された。この抑制反応には被験者の年齢に依存する個人差がみられ、比較的高年齢の被験者では、若年被験者に比し、水浸時における筋交感神経活動の抑制反応が低下した。同時に測定した下腿と大腿の容積は水位の上昇と共に減少した。若年被験者で測定した血漿カテコールアミン(エビネフリンとノルエビネフリン)、抗利尿ホルモン、レニン活性、アルドステロン、アンギオテンシンI・IIの値も頸迄の水浸時には低下し、心房性ナトリウム利尿ポリペプチドは頸迄の水浸により顕著に上昇した。〔結論〕1.水浸時の実験的な低重量下では頭部方向への体液移動が出現し、これを制御するために筋交感神経活動の抑制反応と、内分泌性の反応が出現する。2.水浸時における交感神経性反応には加齢による影響がみられ、高年者では、若年者に比し、この抑制反応が低下する。
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