研究課題/領域番号 |
61480116
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
薬理学一般
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 (1988) 群馬大学 (1986-1987) |
研究代表者 |
小幡 邦彦 岡崎国立研究機構, 生理学研究所, 教授 (60013976)
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研究分担者 |
井上 洋 群馬大学, 医学部, 助手 (30125827)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1988
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キーワード | シナプス小脳 / 特異蛋白質 / モノクローナル抗体 / 免疫組織化学 / 免疫電子顕微鏡学 / ウエスタンブロット / 小脳 |
研究概要 |
シプナス小胞はシプナス前終末に局在する細胞内小器官であり、神経伝達物質を貯蔵しその素量的放出に与っている。その化学的構成を明らかにすることはシプナス伝達及びその可塑性の分子機構を解明するのに不可欠である。最近、シナプス小胞特異蛋白質としてシナプシンエが発見され、その分子構造と性質が明らかになったが、それ以外のものは不明といってよい。 本研究ではモノクローナル抗体を作製して、新たに4種のシナプス小胞特異蛋白質を同定した。すなわち、西江らの方法に従いモルモット大脳皮質よりシナプス小胞を精製し、これを免疫原としてモノクロール抗体を作製した。シナプス小胞に特異的であることは各種神経組織の免疫組織化学、免疫電子顕微鏡観察及び精製シナプス小胞淡泊のウエスタンブロット解析により証明された。また同解析により分子量が決定され、4種の蛋白質が同定され、SVP30、36、38、65と命名した。これらは生化学的分析により、小胞膜に付着するシナプシエとは異なり、いずれも膜に組み込まれた膜蛋白と結論された。SVP65はカルシウム存在下でリン酸化されるリン酸化蛋白質であった。SVP38は独立に発見されたシナプトフィシン(西ドイツグループ)及びUP38(米国グループ)と同一分子と考えられる。 SVP抗体の免疫組織化学はシナプスの分布や発達の研究にきわめて有用であり、小胞皮質と小脳核におけるシナプス発生の時間的ずれ、臭覚系における特異物質発現とシナプス発達の相関、海馬及び大脳皮質における免疫染色強度とシナプス密度との定量的関係、末端自律神経シナプスの変性、再生の経過につき知見が得られた。 これらのSVPの生理的役割を明らかにすることが残された課題である。また上記以外の脳の発生や可塑的変化の研究にこれらの抗体の利用は有力な手段となる。
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