研究概要 |
アンギオテンシノーゲン(AGTN)は血圧調節機構において重要な役割を担うペプチドであり、近年、中西らによりその前駆物質の一次構造及びその遺伝子について報告されている。我々は中西教授より供与されたラットAGTN-cDNAを含むプラスミドによりcompetent cell(E cali MC1061 rec【A^-】株)を形質転換させ、AGTN cDNAを含むプラスミドを増幅させた後、プラスミドを精製した。精製したプラスミドをACCIにより切断しアガロースゲル電気泳動を行い、1097bpのAGTN cDNA ACCI fragmentを分離した。このACCI frag-mentをnick translation法により放射性標識し、プローブとして用いた。ラット肝よりグアニジンチオシアネート法を用いてmessenger RNAを精製し、【^(32)P】-labeled ACCI fragmentをプローブとしてノザーンブロットを行い、1800bpのAGTN mRNAを検出した。AGTNは肝のみならず脳をはじめ種々の組織に存在することが報告されているので、その生合成系をmessenger RNAレベルで検討するために現在、ラット脳,肝,腎,副腎,大動脈及び心臓よりmRNAを調製し、ノザーンブロッティング法により各組織におけるAGTN mRNAの発現量の定量を試みている。AGTN産生の調節系を解明するため副腎皮質ホルモン投与ラットの肝臓よりmRNAを調製しノザーンブロット法によりAGTN mRNA発現量の変動について検討中である。より感度の高いプローブを得るために組換えDNA手法を用いてAGTN cDNA ACCI fragmentをSP6及び【T_7】プロモーターを持つプラスミドベクターに挿入し、complementary RNA(cRNA)を作製中である。また脳内には局所レニンアンギオテンシン系の存在が報告されている。その生理的意義を解明する目的で、脳におけるAGTN mRNA発現量の定量及び神経伝達物質との相互関連について検討を加え、更にin situ mRNA-cDNA hybridiza-tionによる核酸の組織化学によりニューロペプチドを生合成するニューロンを同定する予定である。
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