研究概要 |
1. 遺伝性高脂血症WHHLウサギで異常増加した血清LDLのスフィンゴ糖脂貭の約70%をスルファチドが占めることが明らかとなった. そして, WHHLウサギは正常ウサギに比して約40倍の増量を示した. 2. WHHLウサギのLDLのスルファチドの脂肪酸組成は直鎖酸約90%とオキシ酸約10%からなり, また, 長鎖塩基組成は約90%の(4E)ースフィンゲニンと約10%の4Dーヒドロキシスフィンガニンからなった. 3. リポタン白貭合成臓器である肝と小腸のスルファチドを単離精製し, それらの脂肪酸及びスフィンゴシン塩基組成を分析した. 肝のスルファチドは主として直鎖酸を(4E)ースフィンゲニンからなり, 小腸のそれは主としてオキシ酸と4Dーヒドロキシスフィンガニンからなることが明らかになった. 4. WHHLウサギの血清LDL, 肝及び小腸のスルファチドの脂肪酸及び長鎖塩基組成より, 血清LDLは肝由来のものが約90%で, 小腸由来のものが約10%であることが推定された. 5. WHHLウサギは遺伝的に肝はじめ種々の組織で, LDLレセプターの欠損のためLDLが組織内に取込まれ難くなって血清中で増量するものと考えられているが, LDLは肝で増量するものと考えられているが, LDLは肝で合成分泌されたVLDLから常に由来し, 供給されていることが想定された. 6. 肝由来のVLDLはリポプロテンリパーゼによってLDLに変換するものであるが, この酵素活性はスルファチドによって亢進するものと思われたが, スルファチドによってリポプロテンリパーゼの量が増加することは認められなかった. 7. 外来性及び内因性スルファチドによって血管壁への脂肪及びリポタン白貭の沈着はある程度抑制させるのではないかと考えられた.
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