研究概要 |
トキソプラズマ(Tg)強毒株虫体の組織培養上清、および重篤感マウス腹腔内から採取し、虫体RNAの抽出を行なった。抽出方法は、塩化セシウム密度勾配超遠心分離によって得られる虫体のPolysome分画からRNAを抽出する方法と、虫体の全RNAをフェノール抽出により分離する方法とを比較検討した。得られたRNAは28,18,5Sの大きさを示し、Johnsonらの報告(28,18,14S)とほぼ一致した。得られたRNAからoligo(dt)セルロースクロマトグラフィーを用いてPoly(【A^+】)RNAの分離を行なった。収率はPolysomeの分画抽出方法の方が良好であった。得られたPoly(【A^+】)RNAを用い、うさぎ綱状赤血球Lysateによる蛋白質生合成を行ない、Tg特異抗原性を有する蛋白質の合成を確認した。この結果からTg虫体mRNAの分離方法が確立できたとみなし得、他の病原寄生原虫mRNAの分離にも応用を試みている。(寄生虫学会・西日本支部会発表) 熱帯熱マラリア(P.fal)虫体の赤血球培養上清中のP.fal抗原について、感染患者血清を用いた免疫化学的手段によって検討を行なった。その結果、従来報告されている抗原とは諸性質の異なる、分子量約30,000、熱に不安定、株特異性を示さない抗原物質の存在を見出した。(寄生虫学会第56回本大会発表予定) 本抗原の諸性質について検討を加えるため本抗原の精製、および特異抗体の作製を試みている。現在、蛍光抗体法によっ区別される3種の単一抗体を得ており、それらの抗体によって検出される抗原の諸性質について検討中である。
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