研究概要 |
細胞内寄生原虫のひとつ, トキソプラズマ(Tg)虫体弱毒株特異抗原(分子量約20KO)について,モノクロナール抗体(mAb)を用いその生物学的意義に関する検討を行なっているが, 臓器内cystozoiteも,in vitroで観察されるcystーlike body内の虫体も, 共に20kD抗原が検出された事から, 20KD抗原は cystozoite特異抗原である事が確認された. 現在, 免疫化学的手法, および高速液クロを用いて同抗原を精製し, 強毒株抗原との比較検討を行なっている. 一方, 弱毒株虫体よりmRNAを抽出し, これを鋳型にしてDNAを合成, 次いでファージλgt11遺伝子に組み込み, 大腸菌内で蛋白合成させたところ, 同抗原性を有する蛋白質の存在が確認できた. 現在, 同抗原物質をコードするDNAについて検討中である. また, Tg虫体強毒株特異抗原についても, mAbを用いて検索したところ, 強毒株と弱毒株間に量的差違のある抗原が検出された. 現在, 免疫生化学的手法により, 同抗原の生化学的性質についてより詳細な検討を加え, 抗原の精製を試みている. (第57回寄生虫学会発表予定). 同抗原をコードするDNAに関しても, 目下検討中である. 熱帯熱マラリア(P.fal)可溶性抗原(分子量33kD)について種々の株間での抗原性差違をmAbを用いて検索したところ, 各株間に共通の抗原である事が判明した. 一方,同抗原の感染赤血球分布を蛍光抗体法によって検索したところ, P.fal虫体感染後, 赤血球外膜上に数ヵ所に限局して出現する事が観察させた. 現在, P.fal虫体の種々の分泌性抗原と比較検討すべく, 同抗原をコードしているDNAについての検討を始めている.
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