研究課題/領域番号 |
61480141
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研究機関 | 国立予防衛生研究所 |
研究代表者 |
和田 義人 予研, その他, その他 (60039493)
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研究分担者 |
冨田 隆史 国立予防衛生研究所, 衛生昆虫部, 研究員 (20180169)
正野 俊夫 国立予防衛生研究所, 衛生昆虫部, 殺虫剤室長 (80011922)
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キーワード | イエバエ / 殺虫剤抵抗性 / ピレスロイド / kdr遺伝子 / 性決定機構 |
研究概要 |
イエバエの異常な性決定様式の増加とほぼ時を同じくして殺虫剤抵抗性が発達してきたので、両者の関連性の有無を確かめ、また集団の中での殺虫剤抵抗性遺伝子の増加を抑制する新しい方法を集団遺伝学的に研究し、さらにこれを実地に応用して検討し、これらの研究成果を基にして、防除が困難になりつつあるイエバエの有効な対策を樹立することを計画した。昭和61年度においては、まずイエバエの各地の集団につき【II^M】F系統およびaabys系統との交配実験により性決定様式の異常について調べた結果、正常な雄および雌は大変少なく、M因子が常染色体上に位置するものの増加が確認された。殺虫剤抵抗性については、有機燐剤のほかにピレスロイド剤に対する抵抗性が各地で問題になりつつあることを確認した。また、群馬県の牛舎で採集したイエバエのピレスロイド抵抗性にKdr遺伝子が関与していることを交配実験により確かめた。さらに群馬県および栃木県のイエバエ5集団につき、kdr遺伝子の頻度を交配実験により調べ、この遺伝子が急速なピレスロイド剤抵抗性の発達をもたらした原因であることを明らかにし得た。集団の中での殺虫剤抵抗性遺伝子の増加を抑制する新しい試みとしては、集団が小さくなった時に感受性化体を放飼する方法や、殺虫剤散布の際に無散布の小区域を設ける方法などの有効性を、集団遺伝学的にシムレーションにより確かめた。以上により、イエバエの殺虫剤抵抗性の中でもとくにピレスロイド剤抵抗性が大きな問題となりつつある実態が明らかとなり、またピレスロイド剤抵抗性にはkdr遺伝子が重要であることがわかってきたので、今後はこのkdr遺伝子対策に重点をおいて研究を進めていきたい。また、kdr遺伝子の頻度の測定は、野外で採集した雄を一個体ずつkdrをホモに持つ系統の雌に交配して行っているが、これにはかなりの労力を要するので、より簡便な方法を開発して研究を進めたい。
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