研究概要 |
トランスポゾンγδ配列の末端にある38bpのDNAを含むプラスミドには, γδが転移しない. 即ち, この38bpのDNAには, 転移免疫能がある. この研究では, 36番から38番までの塩基配列および, 38bpのDNAに隣接するDNAの塩基配列を変えると, 転移免疫の強さがどのように変わるかを合成DNAをクローニングして調べた. (1)36番から38番の塩基配列では, δ末端の配列(AAG)がγ末端の配列(TAT)より45倍免疫能が強かった. (2)γ末端の38bpDNAの外側の隣接DNA塩基配列を, TCCCCからGTAAAに変えると転移免疫能は7倍増強した. (3)この配列で36から38番の塩基配列をTATからATGに変わると, 転移免疫は28分の1に低下した. 以上を要約すると, 転移免疫能に影響する隣接塩基の特異性は (A)37番の塩基Aは特異性が非常に高く, これが他の塩基に変わると転移免疫能は殆どなくなる. (B)36番(A), 38番(G)の塩基は, 37番に比べるとはるかに特異性が低い. (C)外の隣接塩基配列は, GCリッチのものよりATリッチのものの方が転移免疫能が高いと考えられる. これは, 転移酵素が隣接塩基配列としてATリッチの配列を好むことと関係があると思われる.
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