研究課題/領域番号 |
61480154
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
竹森 利忠 千葉大, 医学部, 助教授 (60114295)
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研究分担者 |
徳久 剛史 神戸大学, 医学部, 教授 (20134364)
谷口 克 千葉大学, 医学部, 教授 (80110310)
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キーワード | Abelsonマウス白血病ウイルス / 温度感受性変異ウイルス株 / B細胞分化 / 抗体遺伝子発現 |
研究概要 |
リンパ球分化の機構に関する蛋白分子・遺伝子レベルの解析を可能にするシステムを作るために、Abelsonマウス白血病ウイルス(A-MuLV)より温度感受性変異ウイルス株(ts mutant)を単離し、このts mutantに感染した幼若リンフォーマクローンを確立した。このクローンは低温の培養条件では細胞表面抗体(SIg)陰性のpre B細胞の成塾段階に属し増殖を続けるが高温度の培養条件ではSIg陽性の成塾細胞へ、更にマイトーゲンの刺激により抗体分泌細胞へと分化する。これらの各分化段階におけるIgの異なった発現は、抗体遺伝子RNAレベルでの調節に関連することが明らかにされた。細胞感染温度感受性A-MuLV由来蛋白(p120)はチロシンキナーゼ活性を持つことが知られており、またこの蛋白の発現は細胞の腫瘍化に重要な役割をはたすことが示唆されている。我々の確立したリンフォーマ・クローンでは、低温度でのA-MuLV由来蛋白のキナーゼ活性は正常であるにもかかわらず、高温度ではその活性が1/10から1/100に低下することが認められた。この事実は、幼若リンフォーマにあらかじめセットされた分化の機構がA-MuLVの感染を契機としてブロックされると、またこのブロックがp120蛋白のキナーゼ活性の低下により部分的に解除されることを示唆する。 現在我々は、A-MuLV温度感受性変異ウイルス遺伝子のクローニングを試み、また同一のウイルスを用い幼若T細胞ラインの獲得を試みている。幼若胸腺細胞のts mutant感染により現在いくつかのラインが単離されその性状を解析している。また現在我々は、Bリンパ球の各分化段階に特異的に発現される分化関連遺伝子の単離を遺伝子工学・免疫化学の技術を用いて行なっているが、これらの試みは、リンパ球分化の機構の解明に有用と思われる。
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