研究概要 |
1.アクリルアミドと関連誘導体のニューロブラストーマ及びシュワノーマへの毒性を調べて以下の結果を得た。(1)細胞毒性はE【D_(50)】で比較すると、9化合物中アクリルアミドとN-ハイドロキシメチルアクリルアミドが強かった。(2)アクリルアミドはニューロブラストーマに変性を起し、かつ細胞成長も阻学し、シュワノーマに対しては形態に変化を起すことなく細胞成長を阻害した。(3)ジブチリルサイクリックAMP(dBcAMP)はアクリルアミドの毒性を軽減した。(4)【^(14)C】-アクリルアミドの細胞によるとりこみ実験から、両細胞系には高親和性と低親和性の結合部位があり、細胞をdBcAMP処理した細胞では高親和性部位が消失していた。(5)【^(14)C】-アクリルアミドの細胞内分布をみると、大部分の放射活性は15,000g×20分上清に存在した。(6)以上の結果から、幼若細胞は成熟細胞に比べアクリルアミドに対してより影響を受けやすいと考えられた。 2.アクリルアミドと関連誘導体の網膜細胞の神経突起伸展への影響を調べて以下の結果を得た。(1)培養系にアクリルアミドを0-5mM加えると、濃度依存的に突起伸展を阻害した。(2)あらかじめ突起を持った細胞にアクリルアミドを添加すると、神経突起の変性が認められた。(3)同様の結果が神経毒であるN-ハイドロキシメチルアクリルアミドで得られ、非神経毒であるクロトンアミドでは得られなかった。このことから本培養系は神経毒物のスクリーニングに有用と考えられた。 3.今後せき髄神経節等に対する誘導体類の毒性を、神経障害性,代謝,毒性修飾因子等との関連で調べる。
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