研究概要 |
1)ヒ化ガリウム(GaAs)とリン化ガリウムおよび酸化ガリウム(Ga.ナ_<2.ニ>O.ナ_<3.ニ>)の皮下および腹腔内投与実験 ICR雄性マウスにGa量としてGaAs100mg/kg,1000mg/kg,GaP100mg/kg,1000mg/kgGa_2O_3100mg/kg,1000mg/kgの各試料をオリーブオイルに懸濁させ, 各投与群20匹ずつに各懸濁液を皮下および腹腔内へ1回投与を行った. 対照群はオリーブオイルを皮下, 腹腔内へ各30匹へ投与した. 投与後は無処置で放置し観察を行った. 約1年間の観察で現在の生存数は皮下投与ではGaAs100mg/kg 19/20,GaAs1000mg/kg 19/20,GaP100mg/kg 14/20,GaP1000mg/kg 16/20,Ga_2O_3100mg/kg 19/20,Ga_2O_31000mg/kg 18/20,皮下投与対照群28/30であり, 腹腔内投与ではGaAs100mg/kg 17/20,GaAs1000mg/kg 14/20,GaP100mg/kg 18/20,GaP1000mg/kg 19/21,Ga_2O_3100mg/kg,18/21,Ga_2O_31000mg/kg 19/20,腹腔内投与対照群30/31であった. 死亡したマウスの剖倹による肉眼所見ではGaAs,GaP,Ga_2O_3の各投与量の腹腔内投与群で腹腔内リンパ節及び肺門リンパ節に各試料の沈着が観察された. 2)ヒ化ガリウムの気管内投与実験 雄性シリアンゴールデンハムスター(8週令)にGaAs,三酸化ヒ素(As_2O_3)ベンツピレン(B(a)P)の各物質の総量3.75mgの気管内投与実験を行った. その結果, GaAs群では30匹中1匹, As_2O_3群では30匹中1匹に肝腫瘍の発生があり, B(a)P群では29匹中2匹に肺腫瘍,1匹に肝腫瘍, 1匹に皮下腫瘍の発生が観察された. 対照群では各臓器の腫瘍の発生はなく, GaAs,As_2O_3群の腫瘍発生率に関しては対照群と有意な差はなく, 発がん性は認められなかった. 3)走査電子顕微鏡(SEM)による観察 ハムスターの気管内にGaAs40mgを投与し4時間後に生殺し, 肺内洗浄液よりマクロファージ(Mφ)を採取し, Mφの活性化の状況をSEMにより観察したが, Mφの活性化はほとんど観察されなかった.
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