研究概要 |
本研究は、間接X線撮影法を一次スクリーニングに用いている胃集検において、受診者集団に対する低線量X線被曝が悪性腫瘍(白血病を含む)の発生リスクにいかなる関連をもつか疫学的手法を用いて明らかにすることである。研究初年度の昭和61年度は以下のような研究実績である。 1.昭和35年以来胃集検が行なわれている宮城県内のモデル地域住民(40歳以上の男女)を対象とした全員(約2万人)の基礎台帳を作製した。 2.胃集検の実施機関である宮城県対がん協会がん検診センター検診記録から、昭和56年までの約20年間分の受診状況(一次検診受診の有無,精密検査受診の有無および診断名)を調査し台帳に記録した。 3.上記の研究と平行して、当該モデル地域の対象住民の死亡,死因ならびに悪性腫瘍罹患状況について、宮城県新生物レジストリーの登録資料とのリンケージの他、保健婦等による家庭訪問インタビューの情報集収による調査を行なった。 4.以上の記録をコンピュータに入れるためのコーディング作業と入力作業を行なった(但し、61年度においては、入力作業とデータの点検作業は未完結であり、次年度に継続して行なう予定である。)。 以上述べた研究はコホート研究の手法を用いたものであるが、この手法は比較的長期の研究期間を要するため、昭和61年度では症例対照研究の手法を用いた研究も行なった。症例は、昭和53年から58年までの県内の白血病罹患者のうち60名を症例とし、性年齢住所をマッチさせた非白血病正常者を対照として、過去の胃集検受診歴を逆追跡調査し胃集検をリスク要因とした場合の白血病発生の相対危険度を算出するための集計分析を行なっている(但し、これも未完結で現在継続研究中である)。
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