研究概要 |
先天異常, 悪性腫瘍, 加令, 免疫異常の相関を解明してゆくことは, 基礎医学ならびに臨床医学の重要な課題の一つといえる. 染色体異常は, それ自体量的に把握することのできる遺伝物質の変化であり, 発がん機構とも関連が深い. 本年は, ともに悪性腫瘍のハイリスク疾患である常染色体優性遺伝病の一つであるRecklinghausen病ならびに染色体異常の一つであるKlinefelter症候群の患児より得たリンパ球を培養し, マイトマイシンC(MMC)誘発の姉妹染色分体交換(SCE), γ線による誘発SCE, ならびに染色体異常の検討を行った. 対象数はRecklinghausen病4症例とKlinefelter症候群4症例ならびにそれぞれ年令・性別をマッチさせた正常対象8症例である. γ線照射・MMC誘発SCEは,両症候群ともに正常対象との間に有意差を認めなかった. Recklinghanaen病における検討結果は同様実験による有意差ありとするHafezらの報告と異なり,Lettleらの報告とは同一結果を得ている. 一方,Criduchat症候群におけめ検討結果は,同じ染色体異常であるDown症候群における結果と異なる興味ある所見であった. このことの解釈は,同じ染色体異常であっても,染色体異常個所の差異(Cancergene markerの有無等)と関係があるのかも知れない. 今後さらに検討を加える必要があろう
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