研究概要 |
3年計画の1年度目に当る本年度実施した調査研究活動の概要は以下の通りである。 長崎県(農村部,離島部,都市部)の男子109名(27-76才),女子59名(35-83才)計168名(ただし血糖高値例,糖尿病既往者,朝食済み例の34名を除く)を対象に集団健康診断・調査を行なった。対象者の職業は男子は農業ないし道路整備、女子はすべて農業である。健診・調査項目は、問診・質問調査のほか、採血,皮脂厚を含む身体計測,早朝尿(1回尿)の採取を含む。尿は定性検査及び高速液クロ法によるカテコールアミン(NE,E,DA)の定量に供した。血液は血清につき総コレステロール(TC),トリグリセリド(TG),遊離脂肪酸(FFA),血糖(BG),インスリン(Insulin)などを測定した。肥満度の指数としてBROCA指数,BMI,上腕背側,肩甲下,腹部,下腿あるいは胸部,腋下,腸骨上,大腿内側などの各部皮脂厚及び上腕,腹部,下腿などの各周径等を測定・算出した。男女別に肥満度各指標と血清・尿中各測定変数との関連性につき単相関関係あるいは主成分分析などによる諸検討の結果、とくに肥満の結果を反映すると考えられる血清インスリンの集団内変動に着目して上記肥満度との関連性を見てみると、血清インスリンは腹部を中心とする体幹部脂肪に最も強い関連性を有することが示唆された。この傾向はとくに女子に強くみられた。 調査研究活動はさらに継続中であり、得られた保存血清について甲状腺ホルモン、肥満の原因となる女性ホルモンなどについても測定している。また、このシリーズとは別に、肥満外来患者(現在までに95名)についても同様の検査結果を得ており、これらデータを併せて整備・検討し、1年度目の研究結果をとりまとめる予定である。初期計画通り2年度目はこれらの結果を踏まえた調査研究を実施予定である。
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