研究概要 |
研究は予定通り, 約100名を対象として早期空腹時OGTTを施行したが,栄養調査,血液化学的検査,身体計測,24時間採尿など一連の調査・検査データが完全であった者は男子57名(21〜75才), 女子30名(41〜80才)あった. インスリンの分泌反応は,男子ではNagamineの式から得られる体脂肪量(%Fat値)ないしはBMI(body mass index)とよい相関を示した. また,インスリン前値の高低はインスリン分泌量と有能な相関を示したが,インスリン分泌量はOGTT30分値(ただし,Vor,30,60,120,180分の5回採血)とより強い相関係数を示した. したがって,血中インスリンと肥満との関連を詳細に調べるには,可能な限りOGTTを実施することが必要と考えられた. ただし,%Fat値は, インスリン前値とも有意に相関することから,早期空腹時の血中インスリンレベルも疫学的研究には有効な情報となりうると考えられる. 一方,女子では%Fat値はインスリン前値,インスリン分泌反応と有意な関連を示さなかった. 男女間での性差,また白人の研究報告との差異などが指摘され,改めてこの種の日本人に関する再検討の意義が示唆される.
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