研究概要 |
(1) ヒト末梢血B細胞をEBウイルスでランダムにトランスフォームし,自己抗体等の産生クローンの頻度を限界希釈法で求めた. その結果は,破傷風トキソイドやDNP等の外来生抗原に対する抗体産生クローンは,SLEと正常人に差を認めなかった. 抗DNA抗体産生クローンは活動期SLEで著しく多く,本疾患の抗DNA抗体産生クローンが特にexpansionしていることが証明できた. しかし, 同じ自己抗体でも, 抗DNA抗体に対する抗イディオタイプ抗体は,急性期にはみとめず,非活動期SLEに唐頻度にみとめられ, 自己抗体産発現とイディオタイプネットワーク機構の密接な関連が実証できた. (2)抗DNA抗体のイディオタイプネットワークによる調節機転を細胞モデルで検討を深めるために, イディオタイプネットワークに関与する細胞〓を樹立,採取している. すでにヒトモノクロナル抗DNA抗体産生クローン,これに対する抗イディオタイプ抗体産生バイブリドーマ(D1E2,1F5)を得ていたが更に, D1E2に対する抵体(抗体亢イディオタイプ抗体)産生ハイブリドーマ(2ー17ー5)を採取した. 2ー17ー5をネオカルチノスタチン(NCS)に結合し,C3H/Heマウスに投与した. この後にDNA(オリゴヌクレオド)ーにしH刺激を行うと抗DNA抗体の産生が増強した. この事は,2ー17ー5ーNC5がこれと反応する抗イディオタイプクローンを障害し, 結果として,抗イディオタイプによる抑制調節作用を障害したために起こった現象と推定された. 抗DNA抗体等, 自己抗原に対する免疫〓的寛容にイディオタイプネットワークが関与することを実証した始めての成績と思われる. (3).SLE末梢血T細胞を株化,樹立することが可能となってきている. このうちより,抗DNA抗体産生に直接的に関与する株のクローン化に努力している.
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