研究分担者 |
千葉 省三 産業医科大学, 医学部, 助教授 (50010450)
織田 進 産業医科大学, 医学部, 助教授 (80035237)
大田 俊行 産業医科大学, 医学部, 講師 (10140930)
山下 優毅 産業医科大学, 医学部, 助教授 (00028680)
白川 文彦 産業医科大学, 医学部, 助手 (10158967)
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研究概要 |
ATL患者における免疫不全の発現機序に関して, ATL細胞よりT細胞の機能を抑制する分子量50,000〜70,000の免疫抑制因子が産生される事を報告してきた. ATL細胞株細胞培養上清及びATL患者血清又はATL患者細胞培養上清中の免疫抑制活性について更に検討を加えた. その結果, 正常人T細胞のmitogenによる芽球化反応のみならず, 体液性免疫の主体をなす正常人B細胞のmitogenによる芽球化反応及びImmunoglobuIin産生能も抑制し得た. B細胞に対する液性因子による抑制は, T細胞を介してのみならず, B細胞の活性化段階における直接作用によるものであった. 更にこの反応抑制活性のtitrationを計ったところ, 終濃度10^<-2>〜10^<-4>まで存在し, 極めて強い抑制活性を示した. 次に, 免疫抑制因子と, HTLVー1に感染し, その後ATL発症に至るまでの過程との関連について検討した. まず, HTLVー1carrierの血清中及び培養細胞上清中には, T細胞及びB細胞のmitogenによる芽球化反応に対する免疫抑制因子活性は認められなかった. 次に, HTLVー1感染細胞をin vitroで人工的に作製し, HTLVー1感染細胞の培養上清中の免疫抑制因子活性を測定した. しかし, 免疫抑制因子活性は認められなかった. 以上より, ATL細胞由来免疫抑制因子はT細胞のみならずB細胞にも作用する活性範囲の広い因子であり, その応用性の広さが示唆される. 又, HTLVー1の感染細胞からはこのような因子は産生されず, infectionより更にtransformationの段階にある細胞から産生されるのではないかと考えられた.
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