研究課題/領域番号 |
61480187
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
戸田 剛太郎 東大, 医学部, 助教授 (40090500)
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研究分担者 |
岡田 吉博 東京大学, 医学部, 医員 (80177063)
池田 有成 東京大学, 保健センター, 助手 (80133073)
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キーワード | 肝疾患 / カルモデュリン / 自己抗体 / 【Ca^π】結合タン白 / 細胞骨格 / 肝硬変 / 慢性肝炎 / 自己免疫性肝炎 |
研究概要 |
肝疾患では、しばしば細胞骨格系と反応する自己抗体が出現することが知られている。一方、カルモデュリン(以下CaM)は細胞内【Ca^π】結合タン白の一つであり、細胞骨格系と密接に関連して存在することが示されている。そこで、肝疾患でみられる細胞骨格抗体の一部はCaM抗体である可能性を考え、肝疾患々者血清についてCaM抗体の検索を行い、その出現を明らかにした。抗体の検索はウシ脳より精製されたCaMを固養させたプレートを用いるELISA(Enzyme-linked immunosorbent assay)法により行った。IgG、IgM、IgAの3クラスの抗体のいずれかが陽性である頻度は急性肝炎55.2%、慢性肝疾患63.1%、正常人6.9%であった。IgGクラス抗体は急性肝炎37、9%、慢性肝炎非活動性38.1%、活動性30.0%、肝硬変47.8%、原発性胞汁性肝硬変50.0%、自己免疫性肝炎58.1%、正常人0%であり、肝疾患で高頻度であったが、SLE患者でも30.0%の出現頻度であった。IgMクラス抗体は急性肝炎13.8%、慢性肝炎非活動性9.5%、活動性20.0%、肝硬変52.2%、原発性胆汁性肝硬変50.0%、自己免疫性肝炎38.7%、正常人5.0%であったが、SLE患者では0%であり、IgGクラス抗体と比較してIgMクラス抗体の出現は肝疾患に特異的であった。抗体の出現はインムノブロッティング法、CaM結合カラムを用いたアフィニティークロマトグラフィーによっても、その出現が確認された。また、抗体の特異性については、吸収実験によって検討したが、ELISA法による陽性血清をトロポニン、ミオシン軽鎖、アクチン、子牛胸腺DNAによる吸収を行っても、抗体価は低下せず、一方、CaMで吸収すると著明な抗体価の減少がみられ、本抗体のCaM特異性が明らかにされた。なお、予備実験に於て、【Ca^π】の存在が抗体価に影響を及ぼすという結果が得られており、今後、【Ca^π】との関連に於て本抗体の検索をすすめる予定である。
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