研究概要 |
1.ミトコンドリア(Mit.)脳筋症の生検筋および培養皮膚線維芽細胞における電子伝達系酵素活性の測定:小児Mit.脳筋症の一例および成人男子のKearnsーSayre症候群の1剖検例において電子伝達系酵素のうちチトクロームc酸化酵素(CCO)欠損症を見出し, 前者は小児科学会地方会(昭和63年3月東京)にて発表した. 後者はさらに抗体を用いたブロッティングにてCCOサブユニットの異常を見出した. 2.Mit.脳筋症の免疫電顕:複合体IおよびIII欠損症3例の生検筋をゴールド標識法による免疫電顕を施行し, 酵素活性低下とゴールド粒子の密度が複合体I欠損の場合は相関することを見出した. 日本神経学会(昭和63年5月東京)にて発表する. 3.Mit.脳筋症モデル動物:先天的に銅欠乏を示すMottledマウスの大脳および小脳ではCCOが欠損していること, ブロッティングにてサブユニットIVが生成されないこと, 免疫組織化学にて小脳プルキンエ細胞のCCO抗体による染色性が低下しており, 免疫電顕にてMit.内膜におけるゴールド粒子が減少していることを明らかにした. 即ち銅欠乏により二次的にCCOサブユニット蛋白の生成が障害されることを示した. 4.鉄欠乏ラット. ラットに鉄欠乏による貧血をつくり, 骨格筋肉のMit.の複合体I,IIIの酵素活性が低下すること, 免疫電顕にてゴールド粒子密度も減少することを明らかにし, モデル動物となることを示した. 5.Mit.のnRNAのin situ hybridization.Mit.のCCOサブユニットI,II,IIIのcDNAにmultiple priming法にてP^<32>を標識し, サザンブロットにてヒトMit.のDNAとハイブリッドすることを確認した後, 現在パラフィン包埋組織切片についてin situ hybridizationにてmRNAを検出できるよう検討中である.
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