研究課題/領域番号 |
61480207
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
武田 裕 阪大, 医学部, 講師 (20127252)
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研究分担者 |
尾崎 仁 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
松山 泰三 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
佐藤 秀幸 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (70167435)
井上 通敏 大阪大学, 医学部附属病院・医療情報部, 教授 (30028401)
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キーワード | 運動 / 交換神経活性 / 活動筋低酸素 / 心不全 / 変時反応 / 変力反応 / 血中ノルエピネフリン / 混合静脈血酸素分圧 |
研究概要 |
運動時には酸素消費量の増加に対応するため活動筋への血流が著しく増加する。この循環調節には交感神経活動による心臓の陽性変力、変時作用と非活動筋部における血管収縮作用が主役を演じている。本研究の目的は運動時に交感神経活動が至適レベルに維持される機序および交感神経活動に対する効果器の反応性が種々の病態でいかに変化しているかを明らかにすることである。61年度には健康人、心不全患者を対象に活動筋における酸素需給状態を反映する還流静脈血(大腿静脈血,混合静脈血)の酸素分圧(P【O_2】)と交感神経活動の指標である血中)ルエピネフリン濃度の関係を中心に検討した。結果の一部はすでに発表(「心臓」18巻742頁)したが要約すると、運動時の血中ノルエピネフリン濃度と混合静脈血P【O_2】大腿静脈血P【O_2】の間には有意の負相関を認め(r=0.84)、また両者の関係は心不全患者でも変化を認めなかった。さらにβ遮断剤を投与し運動中の混合静脈血P【O_2】,大腿静脈血P【O_2】を低下させた場合の血中ノルエピネフリン濃度と静脈血P【O_2】の関係は投与前と同様の相関を示した。以上のことから、運動時の交感神経活動は活動筋における酸素需給バランスに従って変化していること、すなわち活動筋における低酸素状態が求心神経の何らかの化学受容器により認識され、その情報が交換神経性循環中枢へ伝達されることにより交換神経遠心路の活動が調節されていることが強く示唆された。また心不全患者においてもこの機序は変化ていないことも明らかになった。これらの結果を踏まえ61年度には交換神経遠心路活性に対する不全心の反応性がどのように変化しているかについても研究を開始し、すでにその一部は論文化し「Circulation」に投稿中である。要約すると不全心の運動時交感神経刺激に対する変時反応性,変力反応性は低下し、これらの反応性の低下が心不全患者の運動予備能の低下に一義的な役割を果たしていることが明らかになった。
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