研究概要 |
1.SHR腎のANP受容体に関しては5週令、12週会ともコントロールに比較して、結合数の低下が見られ、しかも、経時的な血圧の上昇とともに、腎ANP受容体数の減少率は、より大きくなることが明らかとなった。現在血圧の変化のない3週令のSHRを用いて腎ANP受容体を検討中である。 2.12週令のSHRに降圧利尿剤(indapamide,trichlormethiaside,furosemide)を投与して血圧を正常化して、腎ANP受容体の変化を観察したところ、腎ANP受容体は、さらに結合数の低下を認めた。また、降圧効果の著しいindapamide群で腎ANP受容体数の低下はより顕著であった。以上1,2の結果よりSHRにおいては腎ANP受容体はgeneticに、WKYとは異なっており、受容体数は血圧の上昇に対応して変化することが考えられた。 3.〔【^(125)I】〕-ANPを用いたin vitroマクロオートラジオグラフィーの検討では、特異的結合は主に腎皮質に存在した。さらにより詳細な腎ANP受容体局在を知る目的でミクロオートグラフィーを用いて観察すると、ANPの特異的結合は腎系球体及び血管、尿細管に存在することが明らかとなった。 4.また.下垂体副腎系に対するANPの影響も検討し、脱血ストレスによる血中ACTH分泌をANPが抑制することを認めた。しかし、CRF,vasopressin,angiotensin【II】等によるACTHが分泌にはANPはin vitro,in vivoで影響を示さなかった。また、in vitroでANPが視床下部のCRF放出を抑制することを認めた。以上よりANPが視床下部CRFやvasopressinの分泌調節に関与していることが推察された。
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