研究概要 |
1)自然発症高血圧ラット(SHR)およびDOCA食塩高血圧ラットの血小板内Ca^<++>濃度をquinII法にて測定したが正常血圧対照ラットとの間に差はなかった。 2)4周令のSHRの血小板プロティンキナーゼC(PK-C)活性はWKYラットと差はなかったが、12,20周令のSHRのPK-C活性はWKYに比し有意に上昇していた。10周令SHRをemalapril,nifelipine,hydyalazineのそれぞれの降圧薬で2週間降圧した所、血圧の低下と共に血小板PK-C活性の低下を認めた。7週令SHRの大動脈の細胞質PK-C活性はWKYと差がなかったが、13,20週令ではSHRで有意に高値を示した。これらの結果はSHRの高血圧の発現にPK-C活性が密接に関係していることを示すと考えられる。POCA食塩高血圧ラットでは血小板PK-C活性の上昇はみとめられなかったのでこの型の高血圧モデルでは高血圧とPK-C活性の関連はないと思われる。 3)SHR血小板のミオシン軽鎖のリン酸化は4週令ではWKYと差を認めなかったが、10週令では有意に亢進していた。二次元フォスフォペプタイドマッピングの結果ではPK-Cによるミオシン軽鎖のリン酸化は増加しているがミオシン軽鎖キナーゼによるリン酸化は増加していないことが示された。降圧治療を行ったSHRミオシン軽鎖の総リン酸化量は減少しないが、PK-C依存性のミオシン軽鎖のリン酸化は減少し、ミオシン軽鎖キナーゼ依存性のリン酸化は増加していたことよりPK-C活性と高血圧の強い関連が示された。 4)SHRの血小板内PHは有意に上昇しており、この上昇にPK-Cが関与していることを示した。 5)培養平滑筋細胞のNa^+-H^+交換活性はSHRにおいて上昇しており、この上昇にPK-Cが関与していることを示した。 以上細胞内のPK-C活性が高血圧の発現、維持に深く関与していることが示された。
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