研究概要 |
〔目 的〕抗体産生不全を主徴とするcommon variable immunodeficiency(CVI)にはB細胞の分化レベルでheterogeneityが存在することが膜表面免疫グロブリン(sIg)陽性細胞の検討から示唆されている。本研究ではCVI症例についてその末梢血B細胞DNA合成、Ig産生を解析し、さらに免疫グロブリン遺伝子の再構成につても検討することを目的とした。 〔対象と方法〕7例のCVI、年齢5-22才を対象とした。ヘパリン加末梢血にsilica suspension(KAC【II】)を加えて1時間培養後、Ficoll-conray比重遠心法にて単球を除去し、リンパ球からAET処理羊赤血球を用いて非ロゼット分画を得た。さらにこの非ロゼット分画の細胞を抗Leu-1抗体と補体で処理してB細胞とした。このB細胞にstaphylococcus aureus cowan I(SAC)を0.005%(v/v)で加え、recombinant IL-2(rIL-2)の存在下もしくは非存在下でのDNA合成能(【^3H】-thymidine uptake)、Ig産生能(ELISA)を解析した。またEpstein-Barr virusによってその末梢血および骨髄血より樹立したリンパ細胞培養株をさらに軟寒天培地でクローニングし得られた2症例の細胞株についてJh、JkのDNA再構成の有無を検討した。 〔結 果〕(1)rIL-2はSACで活性化された末梢血B細胞に対してDNA合成の促進とIg産生を誘導することを確認し、CVI証例について解析した。末梢血B細胞の回収が極めて少なかった2例を除き5例のCVIではそのB細胞は以下の4群に分類可能であった。i)SAC,SAC+rIL-2でのDNA合成に欠陥を有する。ii)SACでのDNA合成は認めるが、rIL-2での増幅、Ig産生を認めない。iii)SAC,rIL-2でのDNA合成は認めるが、Ig産生は認めない。iv)正常B細胞と同様の反応を認める。(2)Ig遺伝子再構成の検討では、1例はJh,Jkともに再構成の終了を示唆したが、1例ではJhのみの再構成を認め、Jkはgerm lineであることが示唆された。
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