研究概要 |
1).パンの木レクチン(jackfnuit lectin,jacalin)を結合させたaffinity columnでヒト初乳の硫安沈澱から直接分泌型IgAのIgA1サブクラスを簡便に精製する方法を開発した. (Adv.Exp.Med.Miol.216B:1193,1987,Molec.Immunol.24:1219,1987). 2).JacalinがIgA1と特異的に結合するメカニズムは,IgA1のヒンジ部にあるGalとGalNAc糖とjacalinとの結合によることが,種々の糖による阻止実験で明らかとなった. ただし,jacalinが結合できる糖鎖構造はGalβ1ー3,GalNAcかGalNAcそのもので,Galβ1ー4 GlcNAcやGalβ1ー6 GlcNAcは結合できない. また糖鎖の先端がシアル化されていても結合できないことが解った (Molec.Immunol.25:69,1988). 3).Jackfnuit lectinを数ヶ国から集めその特異性を検討したところ,ある種のlectinはIgG以外の全ての免疫グロブリンと結合することを見出した. さらにこのlectinはIgGでも凝集したものとは反応することも判明した. このlectinを用いることでgammaglobulin製剤中に含まれるIgG以外の免疫グロブリンおよび補体活性化を示し副反応のもととなる凝集IgGも除くことができた(Clin.Chim.Acta,in pness) 4).Jacalin affinity columnで精製された正常人の分泌型IgAや血清IgAの抗体活性中に,IgAを選択的に切断し活性を低下させるIgA分解酵素に対する中和抗体活性を見出した(Microbiol.Immunol.31:1097,1987, Adv.Exp.Med.Biol.216B:1289,1987)
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