研究概要 |
我々は家族性成長ホルモン単独欠損症I型Aに属すると診断された4家系5症例について, 臨床症状, 成長ホルモン剤の投薬効果, 成長ホルモン遺伝子解析を行い, 以下の結果を得た. 1.患児はいずれも極めて低身長で, -0.6〜11.4SDであった. 血中成長ホルモンはいかなる刺激にも反応せず, 常に測定限界以下であった. 前額突出, 低い鼻など特徴的な顔貌を呈した. 2.遺伝子解析では, 成長ホルモンN-遺伝子を含む, 全長7.5KbのDNA欠失があることが示された. RFLPハプロタイプについては2つのタイプのあることが判った. これらの所見は諸外国の9家族と一致するものであった. 3.ヒト成長ホルモン剤投与に対する反応は家系で異り, 抗ヒト成長ホルモン剤抗体産生者(3家系3例)は身長の伸びが悪く, 一方, 抗体非産生者(1家族2例)は比較的良好な反応を示した. 抗体産生に関しては成長ホルモン遺伝子欠失とは別の問題-免疫機構が関与しているものと思われる.
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