研究分担者 |
今井 龍介 順天堂大学, 医学部皮膚科, 助手 (70175214)
内藤 勝一 順天堂大学, 医学部皮膚科, 助手 (10138307)
白井 まさ子 順天堂大学, 医学部皮膚科, 助手 (60162757)
木村 太紀 順天堂大学, 医学部皮膚科, 助手 (00161563)
高森 建二 順天堂大学, 医学部皮膚科, 助教授 (40053144)
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研究概要 |
〈昭和61年度研究実績〉 1)【B_(16)】マウスメラノーマの【F_1】株,【F_(10)】株,BL6株の培養上清中及び細胞内の種々のプロテアーゼ活性を測定し、比較検討した。その結果、3者間にプロテアーゼ活性の有意な差は認められなかった(unpublished data)。これは我々の当初の予測とも,従来の1部プロテアーゼ測定による結果とも,相反するもので、意外な結果であった。その理由として、使用した【F_1】,【F_(10)】,BL6株がオリジナルな性質を喪失している可能性があり、現在検討中である。 2)【B_(16)】,【F_(10)】マウスメラノーマ培養細胞に種々のプロテアーゼインヒビターを添加した場合の腫瘍細胞の増殖と腫瘍細胞内プロテアーゼの挙動について検索した(Nakao et al.,Comp.Biochem,Physiol)。特にカテプシンBとその阻害剤に焦点を絞ると阻害剤の1つである【E_(64)】は、カテプシンB産生を抑制したが、Dイペプチン,アンチパイン,キモスタチンは予想に反して、カテプシンB産生量を増加させるという興味ある現象を示した。これはプロテアーゼインヒビターを用いた腫瘍治療上、重要な点で、インヒビターを厳選すると奏効するが、反面いいかげんなものを使うとむしろ増殖を促すということを示唆するものである。 3)摘出手術より得られた皮膚腫瘍塊(有棘細胞癌,基底細胞上皮腫,脂漏性角化症)をホモジナイズし、種々のプロテアーゼを測定して、細胞侵襲性,転移能との関連性について比較検討した(Tsuboi et al.J.Invest Dermatol submitted)。良性腫瘍の脂漏性角化症に比べ、悪性腫瘍の有棘細胞癌では、type【I】および【IV】コラゲナーゼ活性が有意に上昇しており、これらの酵素がコラーゲンを主とするタンパク性構築物を破壊するのに重要な役割を担っていることが推察された。〈今後の研究計画について〉 昭和61年度は順調に実験が進み、一部翌年度の実験も消化した。今後は新たに、線維芽細胞由来の腫瘍についても検討を加え、悪性黒色腫細胞のそれと比較してゆく予定である。
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