研究概要 |
2個のテルル化カドミウム(Cdte), コリメータ, 携帯型データ収集装置, 無線式データ送受信装置, マイクロプロセッサーからなる携帯型動態機能モニタリングシステムを試作し, それに必要なソフトウエアを開発した. このシステムを用いて以下のごとき臨床応用を試みた. 1.運動重荷および各種薬剤負荷前, 中, 後における左室ポンプ機能の経時的変化を連続的にモニターした. 2.手指の寒冷刺激前, 中, 後の肺血液量の変化を経時的にモニターした. 3.体位変換時の左室ポンプ機能の経時的変化を連続的にモニターした. 4.体位変換時の脳脊髄液短絡流量の変化を連続的に測定した. 5.レイノー症状を呈する患者で, ^<99m>TC-DTPAを用い, 寒冷刺激に伴なう腎血流量の変化を連続的に計測した. 運動重荷前後における左室ポンプ機能のように急速に変化する現象も, 本システムにより性格にモニター可能であることが確認された. 寒冷刺激時, 正常者では肺血液量が増加するが, レイノー現象を有する患者では現象するという結果が得られた. 背臥位では, 脳脊髄液短絡流量が認められない患者でも, 頭部を挙上することで短絡流が生ずることが判明した. その他, 背臥位, 立位では短絡流が認められるにもかかわらず, 坐位にて消失する患者もあることが判明した. 寒冷刺激時の腎動脈血流量の変化に関しては, 目下データを収集中であり, 結果は判明していない. 以上延べた各種のクリニカルトライアルにより, 今回, 我々の開発したモニタリングシステムは最初の計画通り患者の動態機能をいろいろな状況下でモニタリングする上できわめて有用であることが確かめられた. 従来のカメラ・コンピュータシステムでは, このシステムのような検査の上での柔軟性は得られないので, このシステムの利用によって核医学に新しい分野が開かれるものと期待される. また, 患者へのRI投与量も減少指せることができる.
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