研究課題/領域番号 |
61480244
|
研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
朝倉 幹雄 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (70103504)
|
研究分担者 |
塚本 徹 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (30171979)
|
キーワード | 抗うつ薬 / β-レセプターdown-regulation / Serotonin / プロテインキナーゼC / イシノトールリン脂質代謝 / Phorbol-12、13-dibutyrate (PDBu) |
研究概要 |
プロテインキナーゼCの調節ユニットに結合する[^3H]phorbol-12、13、dibutyrate(PDBu)の結合特性を、各種抗うつ薬長期投与のラット脳各部位の膜標品について調べた。Clomipramine、imipramine、mianserinの14日間長期投与後の扁桃体膜標品で、[^3H]PDBu結合の増加を認めたが、desipramine投与では変化がなく、またclomipramine、imipramine、mianserinでも扁桃体以外の脳部位では有意な変化を認めなかった。また、clomipramine14日間投与後の扁桃体細胞質分画におけるPDBu刺激によるプロテインキナーゼC活性は有意に増加したが、fluoxetineではほとんど効果が認められなかった。このことは膜結合プロテインキナーゼの増加ではなく、細胞質分画のプロテインキナーゼCの増加を示唆している。扁桃体膜標品の[^3H]PDBu結合部位は、p-chroro-ph-enylalanine(PCPA)7日間投与で増加したが、5-hydroxy-trypto-phane(5-HTP)はPCPAによる増加に拮抗した。さらに、選択的5-HT_2アンタゴニストのritanserineや5-HTic、5-HT_2両者のアンタゴニストのmethysergideの扁桃体での効果がPCPAと類似していることは、シナプス間隙での5-HT利用率の低下やイノシトールリン脂質代謝系に共役している5-HTic、5-HT_2レセプターの阻害が[^3H]PDBu結合の増加に関係していることを示唆している。したがって、抗うつ薬長期投与後の[^3H]PDBu結合部位の増加は、イノシトールリン脂質代謝回転の低下に対するプロテインキナーゼCの"up-regulatio"を反映することが示された。
|