甲状腺ホルモン作用のうち、核受容体を介する情報発現機序としてDNAの修復機序を主眼点においた研究を行った。 甲状腺ホルモン受容体は、核のみでなく、細胞質にも存在し、両者間の相互作用はホルモン作用発現に関する調節機序であることを判明した。 これらの受容体は、それぞれ、活性型と非活性型が存在し、両者間の相互関係は、それぞれの型の分布(細胞内濃度による分布)の仕方により異なる事実が判明した。 一方、核受容体は、DNAに結合部位を有するものの、非常に不安定な結合であり、DNAの部位(結合部位)における結合、非結合が、核内で均衡を維持されている可能性を指摘した。 さらに、この核内、DNAおよび受容体の結合、非結合が、直接DNAのリボシレーションを誘導する可能性を指摘した。 活性型細胞質内甲状腺ホルモン受容体の一部が核受容体-DNAに何らかの影響を与えることにより、核受容体は活性化され、DNAとの結合に不安定状態を誘導するため、これが、DNAリボシレーションの引きがねになる可能性が考えられ、研究を継続中である。
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