甲状腺ホルモンの遣伝子発現調節に関与する3つの因子の存在を確立した。1.甲状腺ホルモン核受容体、2.細胞質甲状腺ホルモン受容体、3.細胞質甲状腺ホルモン受容体結合蛋白である。 1.核受容体は分子量50000であった。2.細胞質受容体(CTBP)は分子量58000、3.また核受容体へT_3を輸送すると考えられるCTBP受容体結合蛋白のそれは20万であった。CTBPは30000倍に精製されたものでもNADPH依存性を有しそのT_3の親和性は核受容体と異なるものではなかった。NADPH依存性の加え、CTBPはNADPでも活性化され、この過程には、ーSH基の存在が必要であった。NADPH活性型CTBPは核に結合性を示さなかったが、NADP活性型は、核内に存在するCTBP結合蛋白に特異的に結合し、いわゆるアクセプター蛋白と思われた。このCTBP存在様式の多様性は、細胞質内甲状腺ホルモン濃度維持の機構として重要と思われたが、NADPーNADPH系によるcounterregulationは、甲状腺ホルモンによる遣伝子発現調節に対し、調節機能を有すると考えられた。
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