研究概要 |
我々は、家族性高コレステロール血症(FH)モデル動物WHHLウサギを用いて次の事を明らかにした。すなわち、肝臓がコレステロール代謝の中心臓器であり、肝臓LDL受容体が減少あるいは欠除した場合、VLDL,IDL,LDLの産生過剰およびLDLの異化低下が菟起され高VLDL,IDL,LDL血症が引き起こされるわけである。本研究では、血中に増加したVLDL,IDL,LDLが如何なる機構で動脈硬化進展にかかわるかにつき、動脈硬化初期巣に大量に存在する泡沫細胞の形成過程に焦点をあててみた。泡沫細胞の起源はマクロファージと考えられ、我々は、マウス,ウサギ腹腔内マクロファージの採取方法につき検討した。ウサギの場合は、マウスと異なりまず腹腔内に流動パラフィンを注入し4日間放置した後採取し、ラクトアルブミン0.2%存在下でのみマクロファージが培養皿に付着することを見出した。次に上記リポ蛋白さらにアセチルLDL,酸化LDL,β-VLDLを培地に添加し、マクロファージの泡沫化をoil red O染色を用いて検討したところ、WHHL-VLDL,アセチルLDL,β-VLDLを添加した場合にマクロファージが泡沫化される事が明らかになった。次に〔【^(14)C】〕オレイン酸を用いたコレステロールの再アシル化反応,【^(125)I】標識リポタンパクの取り込みおよび分解反応から、いずれの場合も受容体を介した取り込みであることが明らかになった。WHHL-VLDL,β-VLDLはβ-VLDL受容体を介して、アセチルLDL,酸化LDLはアセチルLDL受容体を介して取り込まれることが確認された。我々は、予備実験ではあるが、上記マクロファージを泡沫化するリポタンパクのうち、酸化LDLがマクロファージのプロスタグランディン【E_2】の産生刺激効果があることを見出し、その機構の解析および他のアラキドン酸代謝産物の動態について検討中である。
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