研究分担者 |
谷川 俊則 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (90167502)
佐藤 健太郎 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (40150619)
片山 茂裕 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (90167338)
河津 捷二 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (30134547)
原 義人 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (00112649)
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研究概要 |
BB/Wラットの甲状腺上皮細胞上のla抗原ならびに甲状腺浸潤リンパ球のsubsetsの経時的検討を行った。対象は生後8,12,16,20週齢のBB/Wラットと正常Wistarラット各10匹づつである。方法:ネンブタール麻酔下に全採血を行い、その後甲状腺を摘出しPLP固定後、凍結切片を作製した。初期は一葉を染色に、他葉を細胞単離に用いた。ラットla抗原はマウスで作製されたモノクローナル抗体であるOX6にて染色した。リンパ球のsubsetsも同様に、モノクローナル抗体で染色した(抗panT=W3/13,抗ヘルパーT=W3/25,抗サブレッサーサイトトキシックT=OX8,抗B=OX12とポリクローナルの抗免疫グロブリン抗体)。甲状腺上皮細胞ならびに浸潤リンパ球の単離はコラゲナーゼとヂスパーゼを使用した。結果:1.甲状腺上皮細胞上のla抗原の染色ではその出現はどの週齢のBB/Wラットにも認められなかった。2.甲状腺上皮細胞ならびに浸潤リンパ球の単離は一葉からの単離ではFACSにかけられるほど多くの細胞が取り出せず、今年度は単離細胞を使用する実験は中止とし、組識の染色に全力をあげた。3.甲状腺浸潤リンパ球のsubsetsの染色では大変興味ある結果が得られた。BB/Wラット甲状腺へのリンパ球浸潤は8週齢では認められず、12週齢から認められた。その頻度は12週齢以降は一定で、12,16,20週齢とも50-60%であった。subsetsの染色でも経時的な質的な変化は認められず、大部分がTリンパ球で、それもヘルパーTリンパ球のphenotypeを持っていた。また、Bリンパ球やサプレッサーサイトトキシックTリンパ球はほとんど見いだせなかった。結論:BB/Wラットでは甲状腺上皮細胞上には、la抗原は認められず、慢性甲状腺炎の発症メカニズムはヒトの場合と異なっていることが推測された。今後は、浸潤しているヘルパーT細胞の機能的役割の解明が重要と考えられ、その方向で研究を進める予定である。
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