研究課題/領域番号 |
61480253
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
内分泌・代謝学
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
石井 淳 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (40049763)
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研究分担者 |
谷川 俊則 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (90167502)
片山 茂裕 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (90167338)
河津 捷二 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (30134547)
原 義人 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (00112649)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1988
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キーワード | 自己免疫性甲状腺炎の病因 / 実験的自己免疫性甲状腺炎 / BBラット / ヨード代謝 / TSHレセプター抗体 / 甲状腺機能低下症 |
研究概要 |
BB/Wラットの自然発症自己免疫性甲状腺炎において、その病態と甲状腺上皮細胞上のIa抗原の病因的意義を検討した。甲状腺炎は約10週齢から出現し、20週齢での頻度は約60%であった。病理学的特徴は、巣状の血管周囲性のリンパ球浸潤と上皮細胞の破壊であった。浸潤リンパ球のサブセットは、大部分がhelper/inducer T細胞であり、その多くがIa抗原を有していたが、甲状腺上皮細胞上には、Ia抗原は終始認められず、本ラットでは、上皮細胞上のIa抗原は病因的意義を有さないと考えられた。甲状腺機能は加齢と共に低下し、甲状腺炎合併例でより低値をとった。血清TSH値は、甲状腺炎未発症の8週齢で既に上昇が見られ、なんらかの甲状腺自体の障害の存在が示唆された。抗サイログロブリン抗体(ATA)は7週齢頃から出現し、その頻度と抗体価は加齢と共に上昇した。血中ATAと甲状腺炎は強く関連していたが、ATA陽性例の約1/3では、詳細な組織検索にもかかわらず、甲状腺炎を証明できなかった。抗甲状腺ホルモン抗体は、ATAより高頻度に認められたが、加齢による上昇はなく、ATA同様、甲状腺炎がみられない固体にも見いだされた。以上から、甲状腺に対する自己免疫現象は甲状腺炎の発症以前に始まっており、甲状腺自体の異常が、免疫寛容の早期の破錠を招来するのではないかと推測された。そこで、甲状腺のヨード代謝を検討し、甲状腺ヨード摂取率の低下とヨード化蛋白のヨード含有量の低下を認めた。TSHレセプター抗体は一部にみとめられたが、低力価で、TSH作用阻害活性はなかった。ヨード代謝異常の機序については、さらに詳細に検討する必要がある。以上、BB/Wラットの甲状腺炎の研究から、臓器特異的自己免疫現象の原因として、免疫異常に加えて、臓器のなんらかの先天的異常の関与が示唆され、今後のこの分野での研究の1つの方向を示しているものと考えられた。
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