研究課題/領域番号 |
61480255
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡部 哲郎 東京大学, 医学部(病), 助手 (80169135)
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研究分担者 |
萩原 弘一 東京大学, 医学部(病), 医員
渡辺 純一 東京大学, 医科学研究所, 助手 (20201189)
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キーワード | 自己増殖因子 / 無蛋白培養 / ユビキチン / 白血病細胞 / アミノ酸配列 |
研究概要 |
K-562T1細胞の培養上清120lより約3ugのLGF-Iを得たので、これを気相のアミノ酸配列決定装置を用いて、アミノ末端より約30個のアミノ酸配列が決定された。このアミノ酸配列は既存の細胞増殖因子や癌遺伝子の産物とはhomologyは認められなかったが、興味深いことにユビキチン(分子量8,500)のN端アミノ酸配列と同一であった。ユビキチンは、1976年Goldsteinによって胸腺から分離され、当初胸腺細胞の増殖分化を誘導するとされたが、その後否定された。現在ではユビキチンはATP依存性の蛋白分離過程に関与していること、および核内でヒストン2Aと結合し、またクレオソームのユニット(A24蛋白)を形成することなどが知られている。また最近ではリンパ球のhoming receptorがユビキチン結合蛋白であることが報告されている。LGF-Iがユビキチン結合蛋白であるのか、またはユビキチン分子を含んだ別の蛋白であるのかはLGF-Iの_CDNAの構造解析の結果を待つ必要がある。ユビキチン分子を含んだ別の蛋白の存在は、1984年にたまたまsomatomedin-Cの_CDNAのクローニング中に発見さえており、このような蛋白は他にも存在する可能性は大きい。もう一つの可能性はユビキチンが別の蛋白と結合しLGF-I分子を形成することであろう。ユビキチンはC端がブリッジを形成して他の蛋白と結合するので、この場合この分子のN端はユビキチンのN端以外にもう一つN端をもっていることになる。我々の分析ではLGF-IのN端はユビキチンのN端のみであった。しかし、このことのみでユビキチン以外のN端の存在は否定できない。すなわちもう一つのN端がアセチル化などによりブロックされている場合がしばしばあるからである。ただわれわれの予備的な検討では、LGF-Iはどうやらユビキチン結合物でなくて、一つの_CDNAによってコードされている蛋白である可能性が大きい。
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