研究概要 |
(1)犬食道を用いて食道の伸長特性を検討した。in vitro食道引張実験において、断裂時の力を測定して、4〜8kgfの大きな荷重を要した。食道延長に用いる200gfが極めて安全な事を確認した。 (2)in vitro食道延長実験において、幼犬の食道は延びやすく、成犬の食道は延びにくい事を明らかにした。試作段階におけるエロンゲータの伸長部を用いて、幼犬,成犬の食道閉鎖モデル食道盲端を延長した。連続,不連続のさまざまの加圧を行った結果より、食道の粘弾性に関する基本的数学モデルを作成した。力を抜けば戻ってしまう弾性項と伸びが保存される塑性項の組合せが考えられる。 成犬での伸び方は時定数が小さく弾性的で、塑性部が少なく、バネの弾性特性をもつ。抵抗特性とバネ特性が並列したvoigtのモデルと考えられる、一方幼犬では、立上りの時定数も大きく、伸びの速度は除々にしか減らない。そして力を除いても、大部分の伸びは保存される。即ち粘性がつよくあらわれている。むしろ抵抗特性とバネ特性が直列したMaxwell粘弾性モデルが考えられる。F(f)=F/K(1-e-(K/r)t)+K/【r_2】t (3)口側端食道延長装置の作成 食道伸長部には8mmφの人工血管を用い、空気圧及び水圧の2方向を試作している。伸長部先端には食道の伸びと圧力を感知するセンサーを装着し、マイコンを用いて加圧、そのインターバルを制御出来るように工夫している。人形食道モデルを用いてシミュレーションした。 (4)胃側端食道延長装置の作成 胃瘻より延長部を胃側食道端に挿入し、空気圧による先端部の定期的加圧時に胃内へはずれて来ないように芋虫形エロンゲータを試作した。実用には未だ、いくつかの工夫を要する。
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