研究概要 |
本年は, ウイルムス腫瘍と肝芽腫について, ヌードマウスを用い薬剤感受性試験を行なった. ウイルムス腫瘍はRhabdoid型に属する腫瘍であった. 抗腫瘍剤毎の最大腫瘍増殖抑制率は, エンドキサン83.4%, DTIC56.8%, イホマイド87.7%, シスプラチン77.4%, VP1665.4%, マイトマイシンC81.9%であり, それらの効果については, エンドキサン有効, DTIC無効, イホマイド著効, シスプラチン有効, VP16有効, マイトマイシンC著効と判定された. 肝芽腫はαー胎児蛋白(αーFP)陽性の細胞を持つ腫瘍で, 患児の肺転移巣よりヌードマウスに移植したものである. イホマイド, マイトザントロン, カルボプラチン, VP16, マイトマイシンC, エンドキサン, メソトレキサート, ブレオマイシンの8種の抗腫瘍剤の感受性試験を施行している. いまだ期間が短く, 正確な結果を出すことはできないが, マイトマイシンC, カルボプラチンに有効性を認めている. 昨年度の結論の一つとして, ヌードマウスの腹腔内抗腫瘍剤投与による効果判定結果は, 患者の静脈内抗腫瘍剤投与による臨床的成績と必ずしも平行するとは限らず, ヌードマウスへの抗腫瘍剤投与経路を静脈内投与に変更した方が良いか否かについて, 手技上の問題と静脈投与における薬剤量の問題を検討中である.
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