研究概要 |
1.甲状腺癌症例についての臨床病理学的検討 (1) 甲状腺濾胞癌症例につき,どのような病理組織所見を有するものが血行性転移を起すのかを検討した. (2)またすでに血行性転移を起している症例につき,その原発巣の細胞におけるサイログロブリン,T_4,T_3含有の有無と転移病巣の^<131>I摂取能との関連性を検討した. 2.甲状腺癌組織の採取・保存およびヌードマウスへの移植 これらは, 甲状腺癌特異抗原の作成, および抗体ができた時の検討に供するためのものである. 3.甲状腺癌組織から抽出したサイログロブリン(Tg)に対するモノクローナル抗体の作成 (1) 凍結保存しておいた甲状腺癌組織を解凍しホモジネートし, 超遠心(10万G), 硫安による塩析, セファクリルS200のカラムを通してTgを抽出した. (2) それをBalb/cマウスに免疫し, 抗体を産生しているマウスの脾をとり出し, 細胞融合を行った. (3) バセドウ病甲状腺組織から抽出したTgと結合せず, 甲状腺癌組織から抽出したTgと結合する抗体を産生しているハイブリドーマを選び出した. (4) クローニングを行ない, 現在モノクローナル抗体産生株を選出中である. (5) 今後, 選出したモノクローナル抗体産生株から抗体を精製する予定である. 4.甲状腺癌組織から樹立した甲状腺癌細胞株(TCー78)に対すもモノクローナル抗体の作成 (1) 甲状腺癌細胞株(TCー78)を抗原としてマウスを免疫し, 細胞融合を行った. (2) 得られたハイブリドーマは, スクリーニング法について今後検討の必要があるため, 現在凍結保存中である.
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