研究概要 |
Wistar系ラットより膵ラ氏島を分離し凍結保存を行い、その内分泌能の検索と糖尿ラットへの移植効果を検討した。凍害防止剤としては10%【Me_2】SOを用い冷却速度は25℃/minで-70℃まで冷却し、その後-196℃液体窒素内で2週間凍結保存し、解凍は37℃温浴槽内で急速解凍した。なお、凍結解凍操作の前後に培養保存(3日間)を付加した。まず、凍結保存されたラ氏島を解凍後、実体顕微鏡下で観察した。一般的には凍結・解凍操作により、ラ氏島はかなりの損傷(凍害)を被ると想像されるが、本凍結法では比較的良好に保存され、組織学的にも良好な形態を示した。しかし、一部のラ氏島ではその細胞の核配列のみだけが認められた。凍結保存ラ氏島の内分泌能はグルコース負荷によるインスリン分泌能,含有量より検討した。これらの結果では対照とした非凍結培養ラ氏島と同程度の反応性を示し、内分泌能維持を確認しえた。一方、凍結保存ラ氏島のreplicatory capacityの検討では非凍結培養ラ氏島と同定度のlabelling indexが得られ、また、これら凍結保存ラ氏島の糖尿ラットへの移植実験でもその有効性が認められた。当初、DNA含有量を併せ検討予定であったが、ターナー製,蛍光光度計の購入が遅れているので今後検討予定である。ところで最近の膵ラ氏島移植の臨床では胎児膵が応用されている。これは胎児膵ラ島の増殖能を期待するものであるが、これらに関して今後、胎児ラット膵を用い、その増殖能を検討するとともに、その凍結保存の可能性についても検討する予定である。
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